おひとりさまのための終活ガイド 【老後のリスクと対策】

ひとりだとやっぱり今後が心配

おひとりさまの終活ってなにしたらいいの?

日本は急速に高齢化社会を迎えており、その中で「おひとりさま」の高齢者が増えています。
一人暮らしの高齢者が直面する問題は多く、からだのことや気持ち面でも不安が多い方も多いかと思います。

終活とは、自分の人生の終わり方を自分自身で考え、準備をしていく活動のことを指します。
しかしおひとりさまの場合、誰にも頼ることなく自分自身で準備しなければならないため、色んな制限や不安な点があるかと思います。

この記事では、そんなおひとりさまが終活を進める上でのリスクと対策について詳しく解説します。

この記事のまとめ

➣独身の高齢者が直面する終活の課題と対策
➣「おひとりさま」の終活をスムーズに進めるための具体的な方法
➣終活は自分の人生を自分の意志で終えるための重要な手段

この記事の執筆者

Dr.よだ:
2016年に医師免許取得。また浄土真宗西本願寺派の僧侶として教師資格も取得。現在は内科専門医として地域医療や緩和ケアを中心に勤務。地域社会と高齢化社会、生と死に向き合いながら医師として、また僧侶として活動中。終活や人生の豊かさについて考えています。

おひとりさまの老後リスク

おひとりさま 終活

心身の衰えとその対策

独身で生活していると、老後に直面するリスクがいくつかあります。
まず、やはり心身の衰えは避けられません。

年齢とともに体力や記憶力が低下し、日常生活の中で困難に直面することが増えてきます。
例えば、買い物や家事、趣味の活動などが以前ほどスムーズに行えなくなることがあります。

認知症患者の推定者
画像引用:内閣府HP

内閣府の報告でも認知症の割合はこれからも増加していくと考えられ、あなた自身も今後認知症になっていく可能性もあります。

また、一人で生活していると、誰かに助けを求めることが難しくなるため、この心身の衰えはさらに大きな問題となります。
これらを防ぐためには健康管理に努め、定期的に医療機関を受診すること、適度な運動を続けることなどが挙げられます。

早めの介護保険の申請なども考えておきましょう。

病気やけがのリスクとその対策

また、年齢を重ねると病気やけがのリスクも高まります。

これらの問題は、一人で生活しているとさらに大きな問題となります。
なぜなら、病気やけがで動けなくなったときに、助けを呼ぶことが難しくなるからです。

また、病気の治療やリハビリテーションのためには、通院や入院が必要となり、そのための移動手段や費用を一人で準備する必要があります。

医療費などの負担を減らすためにも保険などの見直しも必要です。

これらのリスクを理解し、対策を講じることが、おひとりさまの安心した老後生活に繋がります。
具体的な対策は以下のようなものが挙げられます。

・訪問介護や訪問リハビリテーションなどの訪問サービスを利用する。
・介護保険を積極的に利用する。
・家族や親族、地域の人との安全確認や互いに協力し合う。
・緊急時の連絡先を記載しておく。

こういった対策を立てていくためにも、とくにおひとりさまの方は早めに終活を行い、老後にむけて準備が必要ですね。

おひとりさま終活のスタート – やるべきことリスト

エンディングノート

終活を始める際には、いくつかの重要な手続きや準備が必要です。
具体的な方法を挙げていきますので、あなたがやりやすい項目から始めてくださいね。

・エンディングノートの作成
・身の回りの片付け
・かかりつけ医の選定や入院の準備
・身元保証人を探しておく
・成年後見制度を利用する
・自分の葬儀やお墓について決めておく
・遺言書を書いておく

エンディングノートの作成

まずひとつ目はエンディングノートを作成しましょう。
これは、あなたの人生の最終段階や死後の希望や考えを記載するもので、あなたの意思を家族に伝えるための重要なツールとなります。
エンディングノートには、自分の財産の分配方法、葬儀の希望、遺品の扱い方などを詳細に記載します。
これにより、自分が亡くなった後の混乱を避け、遺族にとっての負担を軽減することができます。
コチラの記事で詳しく解説してますので参考にしてください。

身の回りの片付け

自身が健康なうちに身の回りの財産や遺産を整理することも、終活として大切な行動となっています。
これにより、自分が長年かけて集めたものを自分自身の意志で整理することが可能となります。

1人で生きてくるとやはり不要なものが増えてきているかと思います。
また今のうちに身の回りの片付け、生前整理を行うことで今後あなたに何が必要かを考えることもできます。

今までのあなたの生き方を振り返り、今後の自分の生き方を見つめなおすキッカケにもなりますし、気軽に出来る終活です。
片付けや生前整理についてはこちらの記事も参考にどうぞ。

かかりつけ医の選定や入院の準備

次に、かかりつけ医やかかりつけ薬局を作ることも重要です。
また、かかりつけ医に定期的に健康チェックを受けることで、早期発見・早期治療が可能となり、平均寿命を延ばすことにもつながります。
なお健診を受けることで寿命が長くなるという報告は乏しいですが、生活習慣の改善で平均寿命が延びる報告は多数あり、また医療費の削減につながることが示されています1
かかりつけ医や薬局を選ぶ際には、自分の病歴や体調をよく理解してくれる医師や薬剤師を選ぶことが大切です。

・かかりつけ医
・近くの薬局
・ケアマネージャーやソーシャルワーカーなど
・福祉施設など

入院が必要になった際に必要なセットを準備しておくこともおすすめします。
入院セットには、必要な身の回り品や書類などを含めます。
これにより、急な入院にも迅速に対応することができます。

身元保証人の選定

さらに、身元保証人や身元引受人を決めておくことで、緊急時に迅速に対応できます。

身元保証人や身元引受人は、自分が入院した際や、自分が亡くなった後の手続きを行ってくれる人を指します。
信頼できる人を選び、その人に自分の意思を伝えておくことが重要です。

成年後見制度を利用する

あなたが今後自分自身のことを判断できなくなった時のことを考えて、成年後見制度も利用しておきましょう。

成年後見制度とは?

認知症や重度の障害などで自分の意思を適切に表現できない人の生活や財産を守るための法的な仕組みです。
この制度を利用することで、本人の意思決定を補助したり、代わりに行ったりすることが可能となります。また重要な契約をしてしまった場合に後見人が代わりに取り消したりすることが出来ます。

成年後見制度を利用するためには、まず家庭裁判所に申し立てを行います。
申し立てる人は本人や親族だけでなく、地方公共団体や医師も可能です。
裁判所は専門家による調査を行い、本人の意思決定能力を評価します。その結果に基づき、後見人、保佐人、補助人のいずれかを選任します。

成年後見制度の申請方法

成人後見人になるのは親族が20%、専門家など親族以外の人が80%と言われています。

死後の手続き – 他人に頼む場合の注意点

おひとりさま 終活

死後の手続きの概要

死後の手続きは、遺族にとって大きな負担となることが多いです。
特に、おひとりさまの場合、遺族がいないか、遠くに住んでいて手続きを行うことが難しい場合があります。
そのため、死後の手続きを他人に頼むことを考える方も多いです。
親族がいる場合はお願いしておくか、いない場合は司法書士や行政書士などにお願いする必要があります。

必要な契約とその詳細

しかし、他人に頼む場合には、いくつかの注意点があります。
まず、財産管理等委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約などの契約を結ぶことが推奨されています。
これらの契約により、自分の死後の財産や手続きを信頼できる人に任せることができます。
また、契約を結ぶ際には、契約内容をしっかりと理解し、自分の意思が反映されるようにすることが重要です。

具体的には、財産管理等委任契約では、自分の財産を管理する人を指定します。
任意後見契約では、自分が判断能力を失った場合に、自分の代わりに判断を行う人を指定します。
死後事務委任契約では、自分の死後の手続きを行う人を指定します。
これらの契約を適切に結ぶことで、自分の意思を確実に実現することができます。

財産管理等委任契約:判断力が低下する前から財産管理を誰かに委任する制度
任意後見契約:家庭裁判所に依頼し様々な契約や手続きを代理で行う制度
死後事務委任契約:あなたの死後に必要な手続きを親族の代わりに依頼する制度

おひとりさまの終活の心得

おひとりさま 終活

終活を進める上での心得

おひとりさまが終活を進める上での心得について述べます。
まず、終活は一日や二日で終わるものではなく、長期的な視点で進めるべきです。
焦らず、自分のペースで進めていくことが大切です。

また、終活は自分自身のためだけではなく、残される人々のためでもあります。
自分が亡くなった後、遺族が困らないようにするためにも、しっかりと準備をしておくことが重要です。

終活は義務ではないです。出来るところから始めましょう。

注意点と対策

終活を進める上での注意点としては、まず、自分の意思を明確にすることが挙げられます。

自分がどのような医療を受けたいのか、自分の財産をどのように分けたいのかなど、自分の意思をしっかりと決めておくことが大切です。
また、自分の意思を他人に伝えるためには、エンディングノートなどを活用すると良いでしょう。

終活のサポートサービス

終活をサポートするサービスの紹介

おひとりさまの終活をサポートするサービスやツールについて紹介します。現在では、終活をサポートするための様々なサービスが提供されています。
例えば、エンディングノートを作成するためのツールや、遺品整理をサポートするサービスなどがあります。

それぞれのサービスの特徴と利用方法

これらのサービスは、それぞれ特徴と利用方法が異なります。
例えば、コクヨ エンディングノートでは、書き方も非常に細かく書いてあり、テンプレートを利用して簡単にエンディングノートを作成することができるのでお勧めです。
書き方についてはこちらで詳しく解説しています。


コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート 終活 遺言 遺言書 遺言ノート 備忘録 KOKUYO 4901480257648 [M便 1/2]

また、遺品整理サービスでは、専門のスタッフが遺品を丁寧に整理し、適切に処分してくれます。
これらのサービスを利用することで、終活をスムーズに進めることができます。

よくある質問

Q
おひとりさまの終活はどこが違う?
A

おひとりさまの場合は、あなたの死後に手続きなどを行う人が必要です。
そのため財産管理等委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約などの制度が必要な場合もあります。
また財産の管理や遺品整理も困ることが多いためエンディングノートに記載しておくことや、あらかじめ生前整理をしっかり行うことが重要です。

Q
高齢者でおひとりさまの割合は?
A

内閣府の調査2によると65歳以上の高齢者のうち、男性は約20%、女性は約15%の人が一人暮らしをしていると報告があります。
そのため早いうちから終活を行うことが望ましいと考えられます。

終活の重要性とまとめ

終活は、自分の人生を自分の意志で終えるための重要なステップです。
また、自分が亡くなった後の家族の負担を軽減するためにも、終活は必要不可欠です。
特におひとりさまの場合、自分の意思をしっかりと伝え、自分の人生を自分の意志で終えるためには、終活が必要です。

この記事では、おひとりさまのための終活について詳しく解説しました。
終活は一見難しそうに思えますが、一つ一つのステップを踏んで進めていけば、
必ず終えることができます。自分の人生を自分の意志で終えるために、終活を始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

[1]辻 一郎. 生活習慣・健診結果が生涯医療費に及ぼす影響に関する研究.2010.

[2]内閣府HP. 3 家族と世帯|令和3年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府 (cao.go.jp)

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