終活しているんだけど、空き家はどうしたらいいんだろう?
住んでない家、どうしたらいいのかなぁ
あなたの大切な家が、いつの間にか「空き家」と呼ばれる存在になっていませんか?
空き家は、ただ所有者にとっての負担だけでなく、地域社会全体にとっても様々な問題を引き起こします。
しかし、その一方で、適切な対策と活用方法を知ることで、空き家は新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
この記事では、「終活」と「空き家」の二つのキーワードを軸に、空き家問題の現状とその解決策について詳しく解説します。
この記事の執筆者 Dr.よだ: 2016年に医師免許取得。また浄土真宗西本願寺派の僧侶として教師資格も取得。現在は内科専門医として地域医療や緩和ケアを中心に勤務。地域社会と高齢化社会、生と死に向き合いながら医師として、また僧侶として活動中。終活や人生の豊かさについて考えています。
終活と空き家問題の深い関連性
終活とは何か?
終活とは、人生の最後を迎えるための準備活動のことを指します。
これには、遺言の作成や葬儀の計画、財産の整理などが含まれます。
しかし、終活は自分自身のためだけではなく、遺される家族や社会に対する配慮でもあります。
その一環として、自分が亡くなった後に自宅が空き家にならないようにすることは、終活の重要な部分となっています。
空き家問題が終活でなぜ重要なのか?
空き家問題は、所有者が亡くなった後や転居した後に家が放置され、管理が行き届かなくなることで生じます。
これは、地域の風景を損なうだけでなく、火災や犯罪の原因となり、地域社会に様々な問題を引き起こします。
また、空き家は資産価値が下がるため、経済的な損失をもたらす可能性もあります。そのため、終活の一部として空き家問題を考え、解決策を見つけることは非常に重要です。
空き家問題の現状と終活の重要性
現在、日本では空き家問題が深刻化しています。
下記の表では総住宅数よりも総世帯数が上回っており、世帯数を住宅数の差が年々広まっています。
それはつまり空き家数が年々増えていることを示唆します。
高齢化社会の進行とともに、所有者が亡くなったり、介護施設に移り住むなどして家が放置されるケースが増えています。
これらの空き家が地域社会に様々な問題を引き起こす一方で、適切な管理や活用が行われていないことが問題となっています。
このような状況を踏まえると、終活の一環として自分の家が将来どうなるのかを考え、適切な準備をすることの重要性がより一層明確になります。
自分が亡くなった後に家が空き家にならないようにするためには、どのような選択肢があるのか、どのような手続きが必要なのかを知ることが第一歩となります。
終活と空き家問題は、一見すると無関係なように思えますが、実は深く結びついています。
自分の死後に家がどうなるかを考え、適切な準備をすることは、自分だけでなく、遺される家族や地域社会にとっても大切なことです。
空き家の定義と誤解
一般的な空き家のイメージ
空き家と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、ボロボロになった廃屋かもしれません。
しかし、実際の空き家の定義はもっと広く、人が住まなくなって1年以上経過した家も空き家と認定されます。この認識の違いが、空き家問題の深刻化に拍車をかけています。
空き家の定義
・1年以上誰も住んでいない状態
・1年以上何も使われていない状態
空き家の定義と認識の違い
先ほどの定義のように空き家とは、人が住まなくなって1年以上経過した家を指します。
これには、ボロボロになった廃屋だけでなく、見た目はきれいでも人が住んでいない家も含まれます。
多くの人は、月に1回ほど風通しをすれば空き家にならないと思い込んでいますが、これは大きな誤解です。
人が住まなくなって1年経過した家は、たとえ風通しをしていても、立派な空き家となるのです。
空き家の増加は、この認識の違いによって加速しています。
人が住まなくなった家でも、定期的に風通しをしていれば空き家にならないと考えている人が多い中で、実際にはその家は既に空き家と認定されているのです。
この認識の違いが、空き家問題の解決を難しくしています。
空き家問題の現状と影響
空き家率の増加とその影響
日本では、空き家率が急速に増加しており、これが社会問題となっています。
総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2018年時点での空き家率は13.6%で、これは過去最大の数値です。
空き家の増加は、地域の活性化や安全性に悪影響を及ぼしています。
空き家の状態とその問題
空き家は、放置されることで急速に劣化します。
国土交通省の「空き家所有者実態調査」によれば、空き家の約6割が腐朽・破損の状態にあるとされています。
これは、放置された空き家が雨風にさらされ、また、害虫や害獣の住処となることが原因です。
空き家問題と地域社会への影響
空き家が増加すると、地域の景観が損なわれ、地域社会の活性化が妨げられます。
また、空き家が放置されることで、不法投棄や放火などの犯罪が増加し、地域の安全性が低下します。
さらに、空き家が増えることで、地域の人口が減少し、地域経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの問題を解決するためには、空き家の適切な管理や活用が不可欠です。
空き家を放置せず、適切に管理することで、地域社会への悪影響を最小限に抑えることができます。
また、空き家を有効活用することで、地域の活性化にも寄与することができます。
空き家の維持とその難しさ
空き家の傷みとその原因
人が住まない家は、放置されることで急速に劣化します。
特に、日本の湿度の高い気候は、家の木材を腐らせやすく、また、害虫や害獣の住処となりやすいです。
さらに、定期的なメンテナンスが行われないことで、雨漏りや配管の破損など、さまざまな問題が発生します。
空き家の維持に必要な管理とその難しさ
空き家を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
これには、清掃、草刈り、雨漏りのチェック、害虫・害獣対策などが含まれます。
しかし、これらの作業は専門的な知識と時間を必要とし、また、所有者が高齢であったり、遠隔地に住んでいたりすると、これらの作業を行うことは難しいです。
空き家の維持にかかるコストとその対策
空き家の維持には、さまざまなコストがかかります。
これには、固定資産税、メンテナンス費用、保険料などが含まれます。
これらのコストを抑えるためには、空き家を有効活用し、収入を得ることが一つの方法です。
また、地方自治体やNPOなどが提供する空き家対策の支援を利用することも有効です。
空き家を放置した場合のリスク
特定空家とその認定基準
空き家を放置すると、家は急速に劣化し、周囲に悪影響を及ぼします。
日本では、特に問題のある空き家に対して「特定空家」という認定が行われます。
これは、空き家が一定の基準(例:著しく劣化している、周囲に悪影響を及ぼしているなど)を満たす場合に、地方自治体が認定するものです。
特定空き家の条件は以下のようなものが挙げられます。
➣倒壊等、著しく保安上危険となる恐れのある状態
➣著しく衛生上有害となる恐れのある状態
➣適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
➣その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家認定の結果とその影響
特定空家に認定されると、所有者に対して改善命令が出されることがあります。
これに従わない場合罰則が科されることもあり、特定空家に認定されると、固定資産税が増加することもあります。
これらのリスクを避けるためには、空き家の適切な管理が必要です。
また、地方自治体が提供する支援制度を利用することで、空き家の適切な管理や活用が可能になります。
空き家問題の解決策
空き家問題への対策とその重要性
空き家問題を解決するためには、まずは空き家の存在を認識し、その問題を理解することが第一歩です。
次に、空き家の適切な管理や活用を行うことが重要です。
これには、定期的なメンテナンスや、空き家をレンタルスペースやコミュニティスペースとして活用するなどの方法があります。
空き家問題の解決策とその効果
空き家を適切に管理・活用することで、空き家が地域社会に及ぼす悪影響を最小限に抑えることができます。
また、空き家を有効活用することで、新たな地域資源とすることが可能です。
これにより、地域の活性化に寄与するとともに、空き家の所有者にとっても新たな収入源となる可能性があります。
空き家の管理・活用には、さまざまな方法があります。
例えば、定期的なメンテナンスを行う、空き家をレンタルスペースとして貸し出す、空き家をリノベーションして新たな住まいとする、などです。
これらの方法を選ぶ際には、空き家の状態、所有者の意向、地域のニーズなどを考慮することが重要です。
空き家問題と法律
空き家問題は、その深刻さから法律で規制されています。
2015年に施行された「空き家等対策の推進に関する法律」では、空き家の所有者に対する責任や自治体の役割が明確にされています。
また、特に問題のある空き家に対しては、「特定空家」の認定とともに改善命令が出されることもあります。
特定空家の所有者には、空き家の適切な管理や活用が求められています。
これに違反すると、罰則が科されることもあります。
空き家問題を解決するためには、まずは関連する法律を理解することが重要です。
法律の理解を通じて、空き家の適切な管理や活用の方法、自治体の支援制度などを知ることができます。
また、法律を理解することで、空き家問題に対する自身の責任や義務を明確にすることができます。
空き家の有効活用方法
空き家をリノベーションする方法
空き家をリノベーションすることで、新たな住まいや事業スペースとして活用することが可能です。
リノベーションにはコストがかかりますが、その分、賃料を上げることができ、長期的には収益を得ることが可能です。
また、リノベーションにより、古い家を保存し、地域の歴史や風景を守ることもできます。
空き家をレンタルスペースとして活用する方法
空き家をレンタルスペースとして活用することも一つの方法です。
例えば、イベントスペースやコワーキングスペース、アートギャラリーなどとして利用することができます。
これにより、空き家が地域のコミュニティ形成や文化活動に貢献する場となり、また、レンタル料を収入とすることができます。
空き家を地域貢献のために活用する方法
空き家を地域貢献のために活用することも可能です。
例えば、地域の福祉施設や子育て支援施設、地域の資源を活用した事業などに利用することができます。
これにより、空き家が地域の課題解決に寄与し、地域全体の活性化につながります。
空き家問題解決のための支援制度
政府による空き家問題解決のための支援制度
日本政府は、空き家問題の解決に向けて、様々な支援制度を設けています。
これには、空き家のリノベーションに対する補助金や、空き家を活用した事業の創業支援、空き家の管理に関する情報提供などが含まれます。
例えば「住宅省エネ2023キャンペーン」により国から補助金が出る場合があります。
地方自治体による空き家問題解決のための支援制度
また、地方自治体もまた、空き家問題の解決に向けた支援を行っています。
自治体によっては、空き家のリノベーションや活用に対する補助金を提供したり、空き家バンクと呼ばれる空き家の情報提供サービスを行っているところもあります。
各自治体で異なるため、あなたが住んでいる自治体の制度は確認してみましょう。
NPOや民間企業による空き家問題解決のための支援制度
さらに、NPOや民間企業も空き家問題の解決に取り組んでいます。
これらの組織は、空き家のリノベーションや活用に関する専門的な知識や技術を提供し、空き家の所有者や地域社会の支援を行っています。
まとめ
空き家問題は、個々の所有者だけでなく、地域社会全体にとっても深刻な問題です。
しかし、適切な知識と対策、そして行動により、この問題は必ず解決できます。
本記事で紹介した情報を活用し、一歩一歩、確実に空き家問題の解決に向けて進んでいきましょう。
また、空き家問題は地域の特性や所有者の状況により、その対策も多様です。
一つの解決策が全ての空き家に適用できるわけではありませんので、自身の状況に合った最適な解決策を見つけることが重要です。
最後に、空き家問題解決は一人で行うものではありません。地方自治体や専門家、地域の人々と協力し、支援を受けながら進めていくことが大切です。
終活を通してその問題にも取り組んでいきましょう。
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