終活しているけど介護保険がよくわからない
介護が必要な家族がいるのだけど、どういうサービスが利用できるの?
皆さん、家族やご自身が高齢になった時、どのような生活を送りたいと考えていますか?
近年、高齢化社会が進む中で、介護が必要になるケースが増えています。
しかし介護についての知識が不足していると、突然の介護が必要になった時にどうすれば良いのか分からず、慌ててしまうことも。
そこで介護保険を利用することで、経済的に介護が楽になるだけでなく、施設の利用や介護用品をレンタルすることで負担を軽減することが出来ます。
皆さんの大切な家族やご自身のためにも、終活を通して介護保険について今からしっかりと準備しておきましょう。
この記事では、終活と介護保険の重要性について解説し、皆さんが安心して未来を迎えられるようお手伝いします。
この記事の執筆者 Dr.よだ: 2016年に医師免許取得。また浄土真宗西本願寺派の僧侶として教師資格も取得。現在は内科専門医として地域医療や緩和ケアを中心に勤務。地域社会と高齢化社会、生と死に向き合いながら医師として、また僧侶として活動中。終活や人生の豊かさについて考えています。
終活と介護保険の重要性
高齢化社会と介護の現状
日本は急速に高齢化しており、これに伴い介護が必要な人が増加しています。
高齢者がどんどん増えていくにもかかわらず出生率は低下し、若年が支えるべき高齢者が増えていることが現状です。
高齢者の健康を支えるためには、適切な介護が不可欠です。
しかし、現状では介護施設に入所するのに待ち時間があるなど、介護サービスが追いついていないのが現実です。
また、家族が介護を担当するケースも多く、これが家族の生活や精神的な負担となっています。これらの問題を解決するためには、社会全体での取り組みが必要です。
家族が介護を担当する場合は終活でのエンディングノートで意思表明するのがいいでしょう。
介護保険とは何か
介護保険は、高齢者が必要とする介護サービスを受けられるようにするための制度です。
40歳以上の人が加入し、保険料を支払うことで、必要な時に介護サービスを利用することができます。
介護保険は、自宅での介護サービスや施設でのサービスをカバーしており、高齢者が安心して生活できるよう支援します。
介護保険の対象者と利用可能なサービス
介護保険の対象者は、要支援または要介護の認定を受けた人です。
対象となる年齢は65歳以上(第1号被保険者)、あるいは40歳から64歳(第2号被保険者)のうち老化に起因する疾患を有するものとされています。
介護保険は介護の必要度に応じて要支援1-2、要介護1-5の7段階に分けられます。
これには、身体的な理由や認知症などで日常生活に支障をきたす人が含まれます。
利用可能なサービスには、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護などがあります。
これらのサービスは、高齢者が自宅で自立した生活を送るため、または施設で適切なケアを受けるために利用されます。
介護保険で利用できるサービス
自宅で受けるサービス
自宅で受けられる介護サービスには、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。これらのサービスは、高齢者が自宅で安心して生活を続けられるよう支援します。
例えば、訪問介護では、食事や入浴、掃除などの日常生活のサポートを行います。
また杖や車いすなど福祉用具を貸りることができます。
施設に通って受けるサービス
施設に通って受けるサービスには、通所介護や通所リハビリテーションがあります。
これらは、高齢者が日中、施設に通いながら、機能訓練やレクリエーションを行うものです。これにより、社会参加を続けながら、健康を維持することができます。
施設に入居して受けるサービス
施設に入居して受けるサービスには、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などがあります。
これらの施設では、24時間体制での介護が行われ、医療の必要な方も安心して生活できます。
介護度別の支給限度額
1ヶ月の支給限度額 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
これらの範囲内でサービスを組み合わせて介護の援助を受けることができます。
介護生活とその問題点
介護生活が始まった後の問題
介護生活が始まると、多くの問題が生じます。
例えば、介護負担による体力的、精神的なストレス、経済的な負担、介護サービスの利用方法の不明瞭さなどです。
これらの問題を解決するためには、適切な情報収集とサポートが必要です。
家族との話し合いの重要性
介護が必要になった場合、家族とのコミュニケーションが非常に重要です。
介護の方針や負担の分担、感情の共有など、家族で話し合うことで、より良い介護生活を送るための基盤を築くことができます。
自分が介護を受ける立場になったときの準備
自分自身が介護を必要とする立場になったとき、どのようなサポートが必要か、どのような生活を送りたいかを考え、終活を行い準備しておくことが大切です。
これには、介護保険の利用や生活設計、遺言の作成などが含まれます。
また最近増えている「おひとりさま」の方は、それを意識した準備を行う必要があるでしょう。
介護保険の申請方法
申請の流れ
介護保険を利用するためには、まず市区町村の社会福祉課や保健福祉課などに介護保険の利用申請を行います。
申請は、本人または家族が行うことができます。
申請を行うと、市区町村から指定の医師による診断書の作成を依頼されます。
この診断書は、医師が本人の身体機能や認知機能、日常生活の状況などを評価し、記入します。
診断書が作成されたら、それを市区町村に提出します。
市区町村は、診断書と本人の生活状況を基に、介護度を判定します。
この判定は、専門の調査員が実施し、要支援1・2または要介護1~5のいずれかに分類されます。
申請方法
介護保険を利用したい場合は、要介護認定などを希望する申請者が、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターに必要書類を揃えての申請が必要となります。
申請に必要な書類
・要介護(要支援)認定申請書
・介護保険被保険者証か健康保険証
・マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカードやマイナンバー通知書など)
・申請者の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
申請後の流れ
申請後は、自治体の調査員が申請者の自宅や病室を訪問し、介護認定調査を行います。
この調査では、心身の状況や生活環境、特別な医療の必要性などが調査されます。
調査後は一次審査と二次審査が行われ、その結果が通知されます。
一次審査はコンピュータによって行われ、申請者がどれくらい介護に時間を要するのかが分析されます。
二次審査では、一次審査の結果と主治医の意見書に基づき、専門家による「介護認定審査会」が行われ、要支援・要介護度の判定が行われます。
まとめ
終活と介護保険は密接に関連しています。
終活を行うことで、自分の意志を明確にし、介護保険を適切に利用する準備をすることができます。
これにより、自分らしい生活の最終章を迎えることができます。
介護は私たち自身や家族が直面する可能性がある大切なテーマです。
終活と介護保険を理解し、適切に準備することで、安心して高齢期を迎えることができます。
これからも、社会全体で高齢者を支える仕組みを考え、実践していく必要があるでしょう。
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